【長編小説】KEYSTROKE ─ 第2話「静かな予選会場」

type-fes2 自作小説
※この作品はフィクションです。
登場する人物・団体・出来事はすべて架空であり、実在のものとは関係ありません。
一部の文章や画像に生成AIを使用しています。

      

終打は、駅前にある古いビルの前に立っていた。

(……ここが予選会場?)

ビルの入り口には、「8階:Type Fes予選会場」と書かれていた。

エレベーターに乗り、8階のボタンを押す。
静かに動くエレベーターの中、終打の胸に、少しだけ緊張が走った。

扉が開くと、黒いスーツを着た男性が立っていた。

男性「こちらへどうぞ」
静かな声にうながされ、終打は部屋の中に入る。

中には、机と椅子がひとつ。
その上には、黒いモニターとキーボードが置かれていた。

終打が椅子に座ると、モニターに文字が表示された。

【Type Fes 予選】
時間:10分間
最低文字数:2000文字以上
内容:「あなたがAIに期待する事」

終打は、キーボードを叩き始めた。

終打が書いた内容の一部分

「AIは、人間の代わりではない。判断を誤るのは、人間の特性だ。

 迷い、揺れ、感情に呑まれる。だが、それは排除すべきものではない。

 感情があるから人間であり、感情があるからこそ、凄まじいアイデアが生まれる。

 AIがすべきことは、冷静に、ただ事実を人間に突きつけること。

 意思決定を代行するのではなく、” 視点を整理する材料 “を提供すること。

 僕がAIに期待するのは、指導でも誘導でもなく、

            沈黙の中で選択を支える、もう一つの思考だ。」

10分が経ち、モニターの表示が変わった。

【予選通過】
本選出場が決定しました。詳細は後日、通知されます。

終打は無言のまま、部屋を退出した。

部屋を出る直前、モニターが一度光ったが、内容はよく見えなかった。

次なる試練に備え、終打は家でひたすらタイピングに没頭した。